顔面神経麻痺に対する病院でのリハビリ治療

顔面神経麻痺のリハビリについてお話をしていきたいと思います。

急性期つまり顔面神経麻痺になった際の病院でのリハビリは早くやるのが基本とされています。(医師によっては、判断が違う事もあります。)

神経断裂が生じた場合、はじめの1〜2ヶ月の間に迷入再生が起こってきます。また、迷入再生は常に動いている筋肉に向かって起こりやすいです。

急性期におけるリハビリの目標は、迷入再生による共同運動(例えば、口を開けた際に目が閉じる等)が起こらないようにしたり、顔面の筋肉が収縮しすぎないようにする為です。

一般的に病院で行われる、顔面神経麻痺に対する大事な事は3つにしぼられてきます。

・上眼瞼挙筋(動眼神経支配)を使っての眼輪筋の曲げ伸ばしをしていく。

・激しく表情筋を使いすぎない。

・表情筋の伸長マッサージをしながらストレッチをしていく。

です。 顔面神経麻痺の発症1〜2ヶ月の時期はいかに迷入再生(切れてしまった神経が別の神経と繋がってしまう状態)を抑えるのかが重要とされています。

まばたきをしたり、しゃべったり、食べたりといった生理的な運動で眼輪筋 口周りの筋肉は頻繁に伸び縮みを繰り返しますが、その他の表情筋は通常、そこまで動かないです。ですので表情筋のマッサージやストレッチが必要となってきます。また、顔面神経麻痺に特徴的なのが口を動かした際に目を閉じてしまう傾向があるので、できるだけ、しゃべる時や食事の時に目を大きく見開く練習が必要となってきます。

また、急性期のリハビリの注意として気をつけないといけない事があります。

上の図は、顔面神経麻痺が起きたらすぐに読む本 柏森良二 著 からお借りしてます。

表情筋をストレッチするのは、伸ばしたり縮めたりする方向が大事になってきます。顔面神経麻痺を発症してから3ヶ月までは表情筋を縦横、円を描くようにマッサージをしていくといいです。4ヶ月を過ぎてくると、表情筋の収縮する方法がわかってくるので、しわに対して直角方向に筋肉をストレッチしていくといいですよ。

また、顔面神経麻痺を発症してから4ヶ月以降になると、口をすぼめたり、頬を膨らましたり、食事の時に目が閉じてしまう事もあります。これを予防するために目を大きく練習をした方がいいです。

慢性期の顔面神経麻痺のリハビリについて書いていきます。

顔面神経麻痺における慢性期というのは、顔面神経麻痺を発症してから4ヶ月目以降をいいます。この時期の症状の特徴は、顔面のこわばり、顔の筋力低下、顔面の拘縮、病的共同運動、顔面のけいれん 等が起こってきます。

4ヶ月経過してくると、顔面神経麻痺の迷入再生は出来上がっていて、表情筋の病的共同運動は固定化する傾向があります。リハビリをするにあたって、大事な事を述べていきますね。

・表情筋に対して強い運動をしすぎない。強く筋肉を動かしすぎると、筋肉が短くなって、これ以上収縮しなくなって、筋力が低下してしまいます。そうすると顔面拘縮がひどくなったりします。

・顔面の筋肉で短くなったところの筋肉を伸ばす。

・目を開けても、目がつぶりやすくなる場合は、目の周りにある眼輪筋を筋肉に沿ってマッサージをして目を開けたり閉じたりをする。

・顔面神経麻痺がある側の口角の外側の上への引きつれに対しては、麻痺のない側の口角を引っ張って、唇の左右対称を保つ習慣をつけていくのがいいです。

あと、顔面神経麻痺を発症してから4ヶ月目以降になってくると、下のまぶたがピクピクする事があるクライアントさんもいらっしゃいます。これを 2次性顔面けいれん といいます。

当院の治療とご自宅でのセルフケアがとても大事になってきます。

再発性の顔面神経麻痺についてですが

ハント症候群が再発することは極めて稀であるが、ベル麻痺や他の顔面神経麻痺では再発することがあります。

再生性麻痺には片方のみに再発する場合と両側に発症する場合があります。

1 一側再発(反復)性麻痺 :一側のみに反復して発症する。多くは2回までだが、4回以上発症する場合もあります。

2 両側交代性麻痺 : 一側の顔面神経麻痺が発症し、麻痺が治癒あるいは回復した後、反対側に生じる。

3 両側再発(反復)性麻痺 : 両側に3回以上麻痺が生じる。頻度はきわめて稀です。

一側再発性麻痺の頻度は欧米で4.3〜7.9%わが国では0.8〜2.0%と頻度は低いです。

また、一側再発性麻痺には原因の特定できない再発性ベル麻痺が多いですが、顔面神経鞘腫や真珠腫性中耳炎なども

存在するため、精査が必要とされています。

再発性麻痺の予後に関しては、一般的に再発を繰り返すごとに悪くなる傾向があります。

病的共同運動など後遺症のが出てくる事もあります。

顔面神経麻痺を起こした際によく使われるスコアが柳原40点法といわれるものです。

顔面神経麻痺発症からの経過した日数と柳原40点法の合計スコアから、顔面神経麻痺の回復程度が


完全回復型 不完全脱神経型 完全脱神経型 から予測されるそうです。

顔面神経麻痺

発症2週間後にスコアが20点程度に回復していれば 脱髄型 であり、3週間ほどで完治します。発症から1ヶ月でスコア20点程度まで回復した場合は 軸索断裂型 で3ヶ月目までに完治します。しかし3ヵ月でスコア20点程度に回復した場合では、4ヶ月以降、神経断裂繊維の迷入再生によって病的共同運動が出現します。軸索断裂が主で、神経断裂線維が少ない軸索断裂型では発症から5〜6ヶ月で病的共同運動が出現します。発症から3ヶ月過ぎてもスコアが10点以下にとどまる場合は 神経断裂型 で3〜4ヶ月後に回復が始まり、同時に病的共同運動が現れる場合が多く、筋力低下が後遺症として残ります。

出典は 顔面神経麻痺が起きたらすぐに読む本です。 柏森良二 著

柳原40点法 以外に サニーブルック法 ハウスブラックマン重症度分類 があります。

顔面神経麻痺
顔面神経麻痺

サニーブルック法は、随意運動時の対称性、安静時の対称性、病的共同運動の3要素について評価して、各要素の得点から公式によって複合点を算出させて、これを総合点とします。複合点は0点から100点の範囲で、0点は随意運動が全くない完全麻痺の状態、100点が正常状態となります。

サニーブルック法では、随意運動時の対称性、安静時の対称性、病的共同運動の各要素を評価するため、どこに問題があるかが容易に把握でき、治療目標を定める場合に大きな助けとなります。

サニーブルック法の欠点は、評価に時間と手間がかかることです。評価を正確に行うため、静止画と動画で顔面を撮影し、画像を観察しながら点数を記入する作業が必要です。

ハウス・ブラックマン重症度分類は、柳原40点法が部位別評価法、サニーブルック法が症状の要素別評価に基づく総合評価法であるのに対して、概括的な評価法です。グレードⅠからグレードⅣで評価し、グレードⅠが正常、グレードⅣが完全麻痺です。評価が簡便で、重症度が直ちに分かる点が優れていますが、欠点は、症状が麻痺による筋力低下など機能不全によるものか、病的共同運動や顔面拘縮など機能異常によるものかの区別が困難であることです。

どの程度の神経が損傷しているかを調べるにはどのようにしたらよいのでしょうか?

それは、電気刺激への反応をみる検査によって分かります。

また顔面神経麻痺になった回復経過は、顔面神経麻痺の症状を評価する表によって分かります。

顔面神経を電気で刺激し、表情筋の反応の強さを測定して、神経損傷の重症度を調べる方法があります。

この検査では麻痺を起こしている筋肉としていない筋肉の反応の強さをそれぞれ測定して、2つの測定値の比率を出します。この比率が40%より高いのか低いのか?で後遺症が残る、残らないがえあかってきます。

この比率が40%以上であれば神経断裂はないと考え、3〜6ヶ月ほどで改善すると考えます。後遺症もほとんどありません。


その比率が40%未満の場合は、断裂した神経繊維があり3〜4ヶ月目以降に後遺症があると考えられています。

顔面神経麻痺で病院の検査法で柳原40点法があります。  

これは、西洋医学の病院で多く使用されている検査法が柳原40点法です。

以前、顔面神経と表情筋の電気的な反応を測定する電気生理学的検査についてお話をしましたが、今回は顔面神経麻痺を起こした表情筋の左右の比較や自分でどの程度動くかを診る事で、どれくらい回復するのか?後遺症がでるのか?がわかる方法があります。

それには 柳原40点法 サニーブルック法 ハウスーブラックマン重症度分類 があります。

日本では柳原40点法が最も普及しています。

上の図がその検査法です。出典は東京医科歯科大学のHPよりです。

柳原40点法の評価項目は10項目あります。1つは、安静時の顔の左右の比較です。他の9つは自分で動かした際の変化を診ています。この評価は、発症から1〜2ヶ月ほどのフォローアップで機能回復の程度を予想できる利点があります。また、発症から6ヶ月ほどの機能回復をみるのに優れた方法です。

明らかな左右差を認めない場合4点、減弱している場合2点、適度に低下している場合 0 点の 3 段階評価で採点し、合計点数を記録します。40点満点で10点以上を不全麻痺、8点以下を完全麻痺、あるいは20点以上を軽症、18~10点を中等症、8点以下を重症とします。 また、36 点以上で中等度以上の病的共同運動のないものを治癒と判定しています。(病的共同運動は、口を動かした時に眼をつぶるなどの自分で意識しない異常な顔面運動です )

医師の柏森良二氏によると、安静時の顔面拘縮や、随意運動に伴う病的共同運動をみる事は難しく、そのまま柳原40点法において満点の40点を目指して自分で表情筋のリハビリを行うと、顔面神経麻痺の後遺症を残して、あまりよくない状態となってしまう事も少なくないそうです。

顔面神経麻痺発症からの経過した日数と柳原40点法の合計スコアから、顔面神経麻痺の回復程度が
完全回復型 不完全脱神経型 完全脱神経型 から予測されるそうです。

参考にされてください。

当院の顔面神経麻痺の鍼治療では、早期の鍼治療により麻痺した神経・筋肉を回復させます。顔面神経麻痺は時間が経つほど、治りが悪く、後遺症が残ってしまいます。発症から半年以上経ってから治療を始めてから改善する方もいらっしゃいますが、できれば発症から2ヶ月以内までには針治療を始めた方がいいです。

顔面神経麻痺については、西洋医学のお医者さんでも色々と考えがあって、早期に刺激した方がいいと言う方もいれば、1ヶ月は様子をみる為にステロイドのみの治療がいいと言う方もいます。  

私の考えとしては顔面神経麻痺が発症してから30日前後から顔面神経麻痺の治療をした方がいいと感じます。そして顔面神経麻痺の後遺症を残さないようにしっかりと治療をしていきます。

顔の針は一見怖いし痛そうに思いますが、実際は痛みは少しチックとする感じです。患者さんの中には眠ってしまう方もいらっしゃいます。

治療頻度としては、顔面神経麻痺発症から2ヶ月目にはできるだけ週2~3回の治療を行い、ある程度落ち着いてきたら週1~2回程度の治療となります。

お気軽にご相談ください。

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