不眠で悩んでいる方は多くいらっしゃいます。
寝つきが悪い、早く目が覚める、眠った感じがしないなどの症状が続いて、日中に眠気や注意力の散漫、慢性的な怠さが起こる状態を不眠といいます。
日本においては約6人に1人が、このような不眠の症状が出ていて。不眠症は40代とともに増えていきます。歳を重ねてくると多くの人が悩んできます。
性差はなく、男女ともに増加してきています。
不眠のタイプとしては
入眠困難
中途覚醒
早期覚醒
熟眠障害
があります。 これらが単独、複数に起ってきます。
ここでは、不眠によく効く鍼灸のツボを紹介していきましょう。
太衝(たいしょう) 足三里(あしさんり) 三陰交(さんいんこう) 失眠(しつみん) 湧泉(ゆうせん) 神門(しんもん)があります。
目次
太衝(たいしょう)
「太」は大きい、「衝」は要衝を表していて、足の厥陰肝経の原穴で気と血が廻るので太衝と言われています。通絡和血、清寒熱の作用があるとされています。不眠だけでなくて、頭痛や目眩、月経不順に効果があるとされています。
※通絡和血:血の流れを良くします。
※清寒熱:寒熱を整えます。
ツボの位置としては、足の第一、二中足骨接合部の前にあります。治療家によっては足の足背動脈上に取穴します。肝経の変動に補瀉とともに使用されます。食欲がない場合にも使われます。
足三里(あしさんり)
足三里は、「三」は三寸下という意味、上焦・中焦・下焦の症状を治療するツボ。「里」は村で集まる意味。強身作用があって、調和気血、健胃止痛の作用があるとされています。
※調和気血:気血を整える。
※健胃止痛:胃の痛みを止めて健康にする。
また、松尾芭蕉が三里歩く度に(約12キロ)お灸を据えたからとも言われています。芭蕉は、隠密説もあるそうです。
胃の合穴で四総穴の1つ。
※四総穴:足三里・委中・列缺・合谷
ツボの位置としては、足の脛骨粗面の外方二横指で前脛骨筋上に取穴。響きやすいので刺激過多に注意する。脾胃経を補う際に使用する。消化器疾患、鬱、膝疾患に効果あります。
三陰交(さんいんこう)
三陰交の「交」は交わる意味があります。この三陰交は、足の太陰脾経、足の厥陰肝経、足の少陰腎経の三経が交差するツボですのでこの名前がついています。
作用としては、健脾益気、調補肝腎 があります。
※健脾益気:脾胃の機能を正常にして全身の気を廻らせます。
※調補肝腎:肝と腎を補う働きがあります。
ツボの取り方としては、足の内果の上三寸にあります。三寸は約9センチです。
他にも女性の生理不順や生理痛、逆子に効果があるとされています。
三陰交は別名、女の三里と言われてるほど女性疾患に使われているツボです。
失眠(しつみん)
失眠は、足の踵の真ん中にあるツボです。正穴ではなく奇穴(きけつ)となります。
※奇穴:ツボは原則的には経絡に所属していますが、経絡に所属せずに独立しているツボがあります。このツボを奇穴と言って特定の症状の治療に昔から使われていました。
「失眠」の「失」は失う「眠」は睡眠の意味があって、睡眠が十分に取れていない場合に改善する為に使用するツボです。
鍼をこの部分にすると大変痛いので、臨床的には、直接灸で艾(もぐさ)を捻って熱さを感じるまでやるというのがいいです。この際に火傷に注意が必要となってきます。
湧泉(ゆうせん)
湧泉(ゆうせん)の「湧」は地底から噴水の様に水が湧いてくる様子を表しています。
足の裏にあるこのツボは、足の少陰腎経の井穴に属していて、腎経の気が湧くイメージです。
鎮静の作用があります。
ツボの位置は、足を踵に曲げて最も凹む所です。
ここの部分も鍼を直接すると痛いので、お灸を数壮するのがいいと思います。
神門(しんもん)
神門(しんもん)の「神」は精神、思考活動の神を指しています。「門」は出入り口を表しています。
この経穴は心経の原穴で、神が出入りする大事な門であるから、神門の名前が付いています。
寧伸安神、捕心気の作用があります。他にも寝汗や動悸の症状にも効果があります。
ツボの位置としては、手の関節の掌側にある尺側手根屈筋健の豆骨付着部にあります。
便秘にも効果があるとされています。